Springは、性被害当事者が生きやすい社会を作るため、政策決定の場に当事者の声を届ける“ロビイング活動”を行っています。
2023年6月、刑法性犯罪規定の2回目の大幅改正が実現しました。
2023年改正の主なポイント
不同意性交等罪の創設(暴行脅迫要件見直し)
「同意がない性行為は犯罪になりうる」ことを明確に示した。
性的同意年齢の引き上げ:13歳未満 → 16歳未満へ
被害者が13~15歳の場合、5歳以上年長者は同意の有無問わず処罰。
公訴時効の見直し
不同意性交罪 10年 → 15年
不同意わいせつ罪 7年 → 12年
被害者が18歳になるまで事実上時効が停止することに。
地位関係性を利用した性行為の処罰規定の創設
附則に、性的同意についての意識(Yes Means Yes 型への可能性)、被害を申告することの困難さ(公訴時効のさらなる見直しへの可能性)等、被害実態を踏まえた5年後の見直し条項が盛り込まれる。
Springがこれから取り組むこと
新刑法の運用の注視
不同意性交等罪について、性的同意年齢の5歳差要件や新たに追加された地位関係性を利用した性行為を罰する規定等、加害者が適切に処罰されていくのか注視していきます。
Yes Means Yes 型にむけて「性的同意」を社会通念にする
「性的同意」を社会通念にし、「Yes Means Yes」型(相手の同意を確認せずに性行為をした者は罰せられる)の法規定の実現をめざします。
公訴時効のさらなる見直しを求める
不同意性交等罪=15年、不同意わいせつ罪=12年、を過ぎたら刑法では罪に問えず、被害実態に見合っていない。被害の申告が困難な方についての実態調査を国に求めます。
トラウマ治療体制の拡充・啓発
性被害のトラウマによる人生への甚大な影響を、被害者一人に背負わすのではなく、全国どこにいてもケアが受けられ、リカバリーが支援される社会を目指します。
なぜ被害当事者が声を上げたのか
これまで、刑法性犯罪の規定が性暴力の実態に即していないために、性暴力の被害に遭っても法的に加害者を罪に問うことができず、被害者が“被害者”と認められてきませんでした。
性暴力とは「相手の同意のない性的言動」のことです。
国連は「身体の統合性と性的自己決定権の侵害」を性暴力として定めています。 「性的自己決定権」とは、いつ、どこで、誰と性関係を持つのかを決める権利です。
同意がなく、対等性がなく、自分の意思を無視され、望まない行為を強要されるとき人は深く傷つきます。
性暴力とは決して許されない人権侵害なのです。
2017年6月、110年ぶりに刑法性犯罪が改正されましたが、性暴力の実態が十分に反映されたものとは言えませんでした。
「私たちのことを、私たち抜きで決めないで欲しい」
性被害を受けた人が被害者と認められ、適切な支援を受けられ、共に生きられる社会を作るために、2017年7月7日、Springは設立しました。
( Spring 設立当時の刑法性犯罪について、詳しくは下記PDF「見直そう!刑法性犯罪」をご覧ください。)