2020年11月20日、衆議院議員会館にて院内集会を開催しました。
Springに寄せられた性暴力被害について、5,899件もの被害件数から明らかになった実態を、外部研究者らとともに国会へ届けることができました。
当日は50名を超える国会議員、代理秘書のみなさまがご来場くださり、報告に熱心に耳を傾けてくださいました。また、100名を超える市民のみなさまにYoutubeライブ配信をご視聴いただき、25社を超えるメディアが取材に訪れ、今回のアンケート調査結果への注目度の高さを実感することとなりました。
会場では性暴力の実態調査報告と質疑応答、Springから関係省庁へ要望を行い、最後に記者会見を開催しました。
■「Springなら聞いてくれる、信じてくれるだろう」
と思ってもらえたのだとしたら……
今回のアンケートは、3週間という短い期間で6,000件近くの被害回答が寄せられました。アンケート内容は、私も含めた多くの性暴力被害当事者スタッフと外部研究者らが結集し、作り上げたものですが、当初は目標回答者数を200件としていたのです。
それは、被害にあわれた方を対象にしているのと、アンケート質問内容が、被害の詳細について、すなわち被害者にとって「語りたくない、思い出したくない」内容だったからです。
「こんなに被害に踏み込んだ内容は、フラッシュバックのトリガーばかりだから、答えてくれる人はきっとそう多くない」ーーサバイバーのひとりとして、私はそう思っていました。
その一方で、性暴力の実態を広く伝えなければ、この社会は変えられないと思いました。“被害実態を知ることと、回答者への負担を軽くすることのバランス”に関しては、研究者のアドバイスをいただきながらは注意深く進めました。
院内集会の当日、代表理事の山本潤から、
「これだけの数が集まったのは、刑事法の検討会に私たちの被害の実態を伝えたい、聞いてほしいという思いがあったから。そしてSpringは被害当事者たちの団体なので、この人たちなら聞いてくれる、信じてくれるという思いがあったのではないか」
とのコメントがありました。本当にそう思ってくれる方がひとりでもいたのなら、こんなに背中を押されることはありません。
■性暴力被害者が社会を動かした瞬間
性暴力が司法で性犯罪と認められないケースがあとを絶たない社会で、この問題に関心を持っていなかった人、国会議員やメディアなどの垣根を超えて、たくさんの方に高い関心を持っていただけた背景には、性暴力被害にあわれ、また、その後を生きるうえでさまざまな困難を背負って生き抜いてこられた何千人ものサバイバーの姿があります。
私は昨年、警察官への講義のなかで「性暴力は死に直結する」とお伝えしました。
それは等身大の言葉であり、被害者を取り巻く悲しい現実です。今回の報告書のなかで、寄せられた回答は統計的にまとめられています。ひとつひとつの数字に込められた、たくさんのサバイバーの方への心からの感謝と、「この社会を変えてほしい」という思いを受け取っていただければ幸いです。
ご来場くださったたくさんの市民のみなさま、議員、関係省庁のみなさま、そして大きく報じてくださったメディア各社に心より御礼申し上げます。
Spring副代表 佐藤由紀子
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・弁護士ドットコム「性暴力「被害」を認識するまで平均7年半、立ちはだかる時効の壁 5899人へのアンケート調査で明らかに」
・毎日新聞「性暴力、「被害」と認識する難しさ 「見知った人」間で顕著 5899人調査」
・朝日新聞「性暴力、被害と認識するまで平均7年半 調査で明らかに」
・東京新聞「暴行・脅迫なくても性被害 6千件の実態調査で判明」
・ハフポスト「性暴力、8割以上が「警察に届けられなかった」との調査結果。時効後に被害を認識するケースも」
・しんぶん赤旗「性暴力根絶策 強めて 当事者団体、政府に要望書」
・しんぶん赤旗「多数は暴力伴わず 性被害 当事者団体調査 回答6000件」
・毎日新聞「論プラス 性暴力対策の強化 被害者救う仕組みに」
・クローズアップ現代+「5,899件の被害から見えた 性暴力の実態」