2025年9月7日(日)、認定NPO法人ゆいネット北海道様よりご依頼いただき、性暴力被害者診療支援看護職「SANET(Sexual Assault Nurse Evidence Taker)」養成講座にて、「性暴力被害当事者について」の講義を2名が担当いたしました。

今年で4回目となり、継続してご依頼いただけることをとても嬉しく思います。
→昨年の講義報告は こちらから
この講座は、被害者を更に傷つける二次被害を避け、本人の意思を尊重した適切な心身のケアに対応できる支援者を養成するものです。看護師、助産師、保健師、医師の資格を有する方、または性暴力被害者支援に関心のある方が対象で、約30名程ご参加いただきました。
本養成講座は様々な視点から各専門家が講義をされる構成となっていたことから、今回Springには、「性暴力被害当事者について」というテーマをいただきました。
私たちからは、 Springが実施した性被害の実態調査アンケート 結果を用いて性暴力被害の現状や、講師2名の経験談(ナラティブ)やそこから考察した受講者への希望・当事者として専門職の方に持っていて欲しい視点・これから実務で意識していただきたいことなどをまじえ、「少しでもお役に立てれば」という気持ちをこめて講義をしました。
今回は「専門職むけ」として、普段の講義・講演ではお話していない詳細な部分まで触れさせていただきました。
講義は下記の構成で進め、レクチャーの中に各個人のナラティブを交えて、90分間お話しをさせていただきました。
- 「性暴力」「性的同意」とは何か?
- Springとしての定義など
- 2023年刑法改正の簡単な内容
- Spring・当事者としての受け止め
- Springの実態調査から見えてきたもの
- 2023年改正後も残された課題
- 2028年再改正に向けた今後の取り組み
- 質疑応答
Springや講師個人が、被害者を代表するものでは決してありません。しかし一人の被害者の経験を通じて、実態を知り性暴力や刑法についての理解につなげていただけることを、ありがたく存じます。
また、受講者の皆さまのお声をたくさんアンケートでいただき、好評だったとのことで、内容の一部をご紹介します。(下記は、アンケート結果の一部を抜粋し、編集を加えています)
・Springが実施した実態調査アンケートの内容と法律との乖離がわかりやすく、また支援の不足や今後の課題が簡潔でわかりやすかった
・被害にあわれた方に向き合い、支援をする中で対等な立場で関わっていきたい。今回お話しいただいてたことを必ず大きな学びとして支援の現場で活かしていきたい
・色々な講義を受けて性被害・性暴力について少しわかったつもりでいたが、今の自分の知識量ではできることは本当に少ないと思う。それでも、専門的に支援活動をしている方々がいる、組織がある、ということを知っているということ自体が大切だと感じる
・性暴力を受けて自分の尊厳が損なわれて、そこから回復をし、社会を変えていこうという立場にたっている経験を話していただきありがとうございました。性被害を話す、伝えると言うのに至るまで、自分自身の想像をはるかに超えるくらい辛かったものだと思う。被害者の心情に寄り添いつつ、受け取り、医療者として、一緒に尊厳を取り戻す力になりたいと思った
・刑法の改正は本当に素晴らしい成果。この運動を駆動した方々にお会いでき、お話をきいて深く感動し、心からの感謝をお伝えしたい。Springを初めて知ったが、今後の活動に注目していきたい
終了後は、主催者の皆さまともじっくりお話しをする時間をいただくことができ、被害者支援の地域間格差や法改正実現までの話、北海道の名物など、帰りの飛行機の時間ギリギリまで大変充実した時間を過ごさせていただきました。
ゆいネット北海道およびSACRACH(さくらこ)のみなさま、そして受講してくださったみなさま、本当にありがとうございました。
今後とも、性暴力被害の実態についてお話できる機会を頂戴できますと幸いです。
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