認定NPO法人ゆいネット北海道からご依頼を受け、2024年7月7日に性暴力被害者診療支援看護職養成講座にて、性暴力被害についての講義を行いました。ロビイングチームを代表して1名が講師を務めました。
今年で三回目のご依頼となりました。「被害者の経験や気持ちをきける貴重な機会でした」「性被害者への理解が深まりました」というアンケート結果が多くあり好評だったということです。
Springが、また講師個人が被害者を代表するものでは決してありませんが、一人の被害者の経験を通じて、実態を知り性暴力や刑法についての理解につなげていただけることを、ありがたく存じます。
昨年の報告はこちらから
この講義は、性暴力被害者の心身の早期回復に重要な、医療的心理的ケアにおいて二次被害をなくし、被害者の意思を尊重した適切な対応をとれる看護職:SANE(Sexual Assault Nurse Examiner)を養成する連続講座の一コマです。
看護師、助産師、保健師、医師の資格を有する方、または性暴力被害者支援に関心のある方が対象で、20名程ご参加いただきました。
講義の前半では、昨年に参議院本会議で可決成立した、刑法・性犯罪法改正法律案の内容や課題と、そこからみる性暴力および性暴力被害の実態についてお伝えしました。後半では、5年後に刑法性犯罪のさらなる見直しを実現するために、スタッフが自身の被害経験とその後を生きてきた中で感じている課題や伝えたいことについてお話しました。
以下、担当スタッフがお伝えした内容と感想をご紹介いたします。
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私は「性的同意をとりましょう」と言いながら、自分の性的な同意がまだわかりません。
おそらく、性的に受動であるべきとされる女性ジェンダーを割り当てられた人の多くがそうで、「だから自分の『同意』を知っていこう」という流れに、多くの方が納得されると思います。
私はそのとき、これまで偽りの「YES」を何度も言ってきたことを、とても後ろめたく感じます。
私は「助けて」という気持ちを、なんども「YES」に変えてきました。なぜならそれが、性暴力を受けながらミソジニーな環境を生き抜くための私なりのサバイバースキルだったからです。
私は、そういうふうに生き抜く被害者も取り残さないで、すべての人の尊厳が守られる社会を望んでいます。
それを考えると、性的同意の文化を作って性暴力のない日本にしていくということは、「性的同意をとりましょう」と伝えていくだけではない、大きなチャレンジなのかもしれません。
昨年に不同意性交等罪が成立し、これからSpringでは「積極的な同意があるかを、アクションを起こす側が、確認をする」という性的同意を当たり前にしていくことで、次の改正に向けて活動を進めていきます。
その駆け出しとして、「同意」とはなにか、なぜ「同意」が重要なのかについて、考えていただくきっかけになればと思い、私自身の経験とそこから感じている問題意識をお伝えしました。
ご参加くださった皆様は、わたしの話に真剣に耳を傾けて、「『尊厳』『YES』について深く考えたい」「被害者と真摯に接したい」「アクティブバイスタンダーを増やしたい」などと受け止めてくださりました。
これからも皆様お一人お一人と志をともにして、一緒にこの大きなチャレンジを続けていきたいと思いました。ありがとうございました。
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ゆいネット北海道およびSACRACH(さくらこ)のみなさま、そして受講してくださったみなさま、本当にありがとうございました。
ぜひともまた、性暴力被害の実態についてお話できる機会を頂戴できますと幸いです。