2024年7月16日、オランダ王国大使館 大使公邸で行われたイベント、「性教育を通して性暴力を防ぐ」に、一般社団法人Springのスタッフが出席しました。
オランダ王国大使館は、オランダ政府のフェミニズム外交政策の枠組みのもと「教育を通して性暴力を防ぐ」というテーマのパネルディスカッションを開催。(駐日オランダ王国大使館・総領事館Facebookページより)
性暴力を防ぐためにはどのような教育が必要なのか、その重要性に焦点を当て、日本とオランダの性教育の違いを学んできました。
冒頭、ヒルス ベスホー・プルッフ次期大使(当時)から、「包括的性教育は性暴力を防止するため極めて重要であり、同意や境線、健全な関係性について育み、個々が自分と他者の権利を尊重するための知識とスキルを身につけるためのものである」という発言がありました。
次にオランダの性教育シンクタンク・ルトガース(Rutgers)からビデオプレゼンテーションがありました。
ルトガースは1969年に設立、2000年から包括的性教育の専門機関として世界27カ国で専門家の訓練とカリキュラム作成に携わってきました。
包括的性教育は証拠と科学的根拠に基づくとし、人生に良い影響を与えるもので、自尊心や成長のためのツールと説明があり、性教育の進展により、最初の性交渉の年齢は引き上がり、25歳未満の望まない妊娠も大幅に減少したと報告されました。
その後パネルディスカッションとなり、モデレーターで ジョイセフの ILADYをご担当されていた櫻井彩乃さんからは、アンケート調査により男子の多くが性に関する知識をネットやAVから得ており、学校の授業・教科書から得たと言う答えがないこと(女子は26.6%が学校からと回答)、性的同意が大切と回答したのは9割に上るにも関わらず、気が乗らない性交渉に応じた・強要されて経験があると答えた女性比率が高いことが報告されました。
オランダの学校で保健体育の教師をされている安井隆さんからは、オランダの性教育はソーシャルスキルの獲得のために行われており、国が義務化している実態が語られました。
一般社団法人ソウレッジ理事の鈴木莉帆さんからは、性教育トイレットペーパーの製作、カードゲームなどを作ってきた取り組みが述べられ、文科省より全校実施が推進されている生命の安全教育をアップデートしていかなければならないと指摘されました。
最後にスピーカーの皆様による日本の性教育の現状についてクロストークが行われ、歯止め規定の課題、保健授業のプライオリティの問題等が語られました。
イベント後の交流会では、ヒルス ベスホー・プルッフ次期大使(当時)にご挨拶、様々な角度から性教育の問題に取り組まれている専門家の皆様と意見交換、NHK記者が取材したオランダ性教育の実態(下段関連記事参照)など、様々な交流が図ることができ、大変有意義な時間を過ごせました。
一般社団法人Springは、性暴力をなくすためには「性的同意」の日本社会への周知、定着が大変重要だと考えています。その上でも性教育の前進は欠かせません。
引き続き私たちは「生命の安全教育」「包括的性教育」など性暴力を防ぐための教育活動にも注目し、「性的同意」を日本の社会通念にするために全力で取り組んでまいりますので、今後ともご支援の程、どうぞ宜しくお願い致します。
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