この度、一般社団法人Springは「東アジア性犯罪法比較白書 −韓国・台湾・香港・日本の制度の課題とこれからの展望」を発行いたしました。

東アジア性犯罪法比較白書 — 韓国・台湾・香港・日本の制度の課題とこれからの展望
¥600 (税込・送料無料)
頁数:106ページ
発行:一般社団法人Spring
本白書は、韓国・台湾・香港・日本の4地域を対象として、「性犯罪の公訴時効」「性的同意とYes Means Yes型規定」「デジタル性暴力規制」この三つのテーマを軸に、多角的に比較・分析したものです。
各地域の立法や運用のプロセス、市民社会の取り組みを明らかにすることで、今後の制度改善のための基礎資料となることを目指しました。
日本の現状
2023年の刑法改正によって「不同意性交等罪」が創設されたものの、公訴時効制度の構造的問題は依然残っていることを詳しく指摘しています。また、「同意の存在」を中核に据えた定義はいまだ不十分であり、Yes Means Yes型法制度の導入検討が強く求められており、既にYMY型刑法を導入している国や地域の、実際の条文を紹介しています。
これらを参考にして、YMY型刑法を日本の法体系に沿ってどのように導入できるのか、検討を深めていきたいです。
東アジア各国の性犯罪法分析
はじめに、「13歳未満および障害者」に対する公訴時効は適用しないとされた韓国の、そこに至る力強い取り組みが報告されています。また台湾では、明確な同意概念の判例が積み重ねられていて、最高法院での実際の判決文も掲載しています。さらに、公訴時効がないなかでの長期的な性虐待加害者起訴に向けた研究がすすむ香港における、「性的同意」の法的な定義についての改革案も提示しています。
いずれも日本にいる私たちにとって非常に力強い希望であり、皆さまにぜひお読みいただきたいです。
提言
日本における性犯罪公訴時効撤廃に必要な制度的・社会的基盤、Yes Means Yes型規定の教育・意識啓発の重要性、さらにデジタル性暴力への国際的連携と施策強化を提起しました。
本白書が国内外におけるアドボカシー活動、政策立案、実務支援、そして研究において広く活用されることを期待しています。
私たちはこの白書を、日本の制度改革を進める上での土台とし、同時に東アジアの仲間と経験を共有しながら、よりよい法制度と支援体制を築いていきたいと考えています。性暴力を許さない社会をつくることは、国境を越えて共通の責務です。
引き続き皆様のご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。
【参考】
- 【台湾視察報告】勵馨基金會(The Garden of Hope Foundation)を訪問しました
- 【韓国視察報告1】タクティンネイルを訪問しました
- 【韓国視察報告2】 アハ!青少年性文化センターを訪問しました
- 【韓国視察報告3】韓国性暴力相談所を訪問しました
- 【韓国視察報告4】法律家と性犯罪・公訴時効に関する懇談会をしました
- 【韓国視察報告5】韓国「国会討論会」に登壇し、記者会見を実施・取材を受けました【メディア掲載】
- 【韓国視察報告6】韓国サイバー性暴力対応センターを訪問しました
※本視察・イベント開催・白書発行は、JSPN/ ジョイセフの支援をうけて実施しました。

