2023年5月1日、日本維新の会法務部門会議勉強会のヒアリングに、Springロビイングチームより5名が参加しました。
刑法改正法律案がいよいよ国会審議入りという大事な時期に、私たちの見解および要望をお伝えする機会をいただけましたこと、大変ありがたく存じます。
Springは、今国会での刑法改正を強く願っています。その上で、ヒアリングでは法律案に対するSpringの要望書に沿って、大きく分けて3点、訴えました。
1、改正の趣旨を国会審議で明確にすること。
2、さらなる検討が必要な事項について、期限を定めた見直し条項や公訴時効のさらなる見直しに向けた実態調査の実施を附則に明記すること。
3、引き続き「格段の配慮」が必要な事項について、附帯決議に盛り込むこと。
法律案はこちら
Springの要望書はこちら (2023/05/08更新)
1については、こちらの記事を御覧ください。
【ご報告】立憲民主党会派法務部門会議のヒアリングに出席しました
2について
さらなる検討が必要な事項についての期限を定めた見直し条項、公訴時効のさらなる見直しに向けた実態調査の実施を附則に明記すること
▶︎刑法性犯罪規定の基本構造を「Yes Means Yes」型にすること
相手の意思を全く確認しないまま性行為におよんだ挙句、「相手が同意していると思い込んでいた」と主張することにより、故意がないからと無罪になる判決がありました。
無配慮・無神経であれば(故意がなく)無罪、という判決が繰り返される懸念は、この改正案であっても残ります。
その懸念を払拭するには、Yes Means Yes型−相手の自発的な参加(同意)を確認せずに性行為を行うと処罰される−に変えることが必要不可欠です。
そのためにも、故意阻却によって無罪とされた性犯罪事件についての実態および改正後の運用状況を調査した上で、基本構造見直しのための研究・検討を行ってください。
▶︎地位関係性を利用した性行為について、明らかに対等でない場合の関係性を明記した処罰規定の新設について
改正案では、被害者の不同意を徴表する列挙事由の一つに「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること」が挙げられるに留まりました。
これでは「憂慮してはいなかった」として、司法判断にばらつきが出ることが懸念されます。
同意/不同意 を選択する自由がなければ、真の同意はありえません。
教師や生徒などのように、明らかに対等性を欠く関係性を明記した処罰規定を新設するために、検討を行ってください。
▶︎性的同意年齢について
改正案では、性的同意年齢が 16歳未満 へと引き上げられました。
「性的行為が自身にもたらす様々な影響を理解した上で判断ができるか」という視点での引き上げです。
一方「対等な関係性があり得るか」という視点で 5歳差要件 が設けられました。
13歳以上16歳未満の相手方とは、5歳以内の年齢差であれば、対等な関係性による恋愛などでの性行為もあり得る、といった意見に基づきます。
果たして、15歳と20歳が、性的な知識や責任能力など様々な面で「対等な関係」と言えるでしょうか。
少なくとも成人年齢以上の者から16歳未満への性行為は一律処罰される必要性があると考えます。
そのために、5歳差要件の運用で当罰性のある行為がすべて処罰できているのか、後追い調査および検討を行ってください。
▶︎公訴時効のさらなる見直しに向けた実態調査の実施について
公訴時効については、こちらの記事を御覧ください。
【ご報告】共産党法務部会のヒアリングに出席しました
3については、今後 別の記事でご報告していきます。
熱心に耳を傾けてくださった日本維新の会の議員の皆様に、深く感謝申し上げます。
引き続き ビクティムファースト(被害者中心主義)の姿勢で、刑法改正に向けて歩みをともにしていただけますと幸甚です。