7月25日、法務省刑事局へ”改正刑法の附則20条2項”に盛り込まれた「性的な被害を申告することの困難さ」の調査実施に向けた要望書を提出し、その後、意見交換を行い、ぶら下がり記者会見をしました。
要望書提出についての報道を下部に掲載しております。
Springからは、附則における事項が確実に履行されることにより、性暴力被害の実態をより明らかにしていただきたく、速やかに調査が実施されるよう要望しました。
今回の意見交換では、法務省の担当者より下記の回答をいただくことができました。
⚫︎必要なことなので責任を持ってやっていく
⚫︎スケジュール的には固まっていないが、改正から5年経過した場合の検討開始に向けて間に合うように企画していく
⚫︎5年後の検討に当たっては、改正後の公訴時効の規定についての施行状況も踏まえる
性犯罪の公訴時効が撤廃またはさらに延長されるためには、「変える必要がある」という、エビデンス(客観的事実)が必要なので、まずは被害実態の調査が必要となってきます。政府がしっかり調査を実施してくれるよう、これからもロビィングで被害当事者の実態を届けてまいります。
この度提出した「性的な被害を申告することの困難さ」の調査実施実現に向けた要望書」の主な内容としては、
1、 附則第 20 条 2 項に従い、「性的な被害を申告することの困難さ」に関する実態調査についてのスケジュールを明確にすること。
2、 上記実態調査を行うにあたっては、近年行われた NHK 等の実態調査やドイツ等諸外国の実態調査を参考にして、現在の日本の状況に沿った形で実証性の高い調査となるようにすること。
3、 実態調査の調査手法や調査項目を検討する際は、私たち被害当事者の意見を十分に踏まえたものとなるよう、必要な措置を講じること。
4、 調査項目については特に下記の内容について盛り込むこと。
(1) 加害者も証拠もはっきりしているにも関わらず公訴期間が過ぎて起訴できない事案の実態
(2)長期間被害の申告が困難であった事案の背景
①被害後の状態
②二次的被害について
③社会の中の誤った認識の内在化について
5、 4 の調査の実施にあたっては、法務省と関係省庁間の連携をはかること。
6、 調査に伴い、申告をした被害者が必要な治療、適切な心理的支援・福祉的支援・就労支援等につながることができるよう、被害者支援の体制をさらに強化すべく、関係省庁間の連携をはかることです。
昨年の刑法改正では、性暴力被害当事者の実態を踏まえ、公訴時効が5年延長され、未成年の場合は「実質33歳まで」公訴可能となりました。
延長幅が5年にとどまった理由として、法務省の法制審議会において「我が国においては、この内閣府の調査報告書以外に依拠できるような実証的な根拠は見当たらない」との議論がなされています。
しかし、5年の延長ではまだ実態に即して不十分であることを、Springが行った実態調査アンケート① ② ③の結果から導き出されたエビデンスとともに、実際に出た判例、諸外国の公訴時効についてもお伝えさせていただきました。
2028年見直しの実現に向けて、Springは様々な関係者・団体らと着実に動き出しています。
これからも、性暴力被害当事者の生きやすい社会の実現のために、共に歩んでいっていただけると嬉しいです。
<要望書提出および記者会見の様子が取り上げられた報道>
産経ニュース 性被害申告の困難さなどの実態、早期調査を 当事者団体が法務省に要望 (2024/7/25)
共同通信 性被害の実態、早期調査を 当事者団体、法務省に要望 (2024/7/25)
スポニチアネックス 33歳医師が性的暴行 妊娠で発覚 合コンで知り合った女性に睡眠薬飲ませ…「同意して性行為」と否認(2024/7/26)
TBSNEWS 「性被害の申告は困難」当事者団体が法務省に性被害の実態調査求める要望書提出(2024/7/26)