2023年4月5日、衆議院議員会館にて院内集会を開催しました。
刑法性犯罪規定の改正法律案に、「同意しない意思」という文言が加わったこと、また罪名を「不同意性交罪」へと改める方針が閣議決定されたこと等、私たちの思いが政治、司法に届いたことは大変嬉しく、歓迎しております。
一方で、私たちが当初から求めてきた、公訴時効の見直しはまだまだ不十分なままです。
・幼少期に被害に遭った場合はそれが性被害だと認識できず、訴え出るまでに長期間を要する場合が多いこと
・長期反復的な性虐待・性暴力の影響により、精神的外傷性健忘症といわれる“解離”を起こして長期間記憶をなくす場合があること
・記憶をなくしてない部分も、被害者は多くの場合行為者により行為について話さないよう仕向けられること
・被害だと認識できたり、記憶を取り戻したりした後も、そこから心理的ケアを受けて、性虐待の経験を外部に話せるようになるには長い年月を要すること
・18 歳から 38 歳までという年齢の段階は、人生において、小さい子どもの子育て中又は家庭責任を有する時期であることが想定され、被害者は司法手続を行うことが困難であること
・以上の事由等から、性暴力被害当事者はその被害を申告するまでに20~40年にわたる長い年月がかかる場合が少なくないこと
等の問題が、この見直しには全く反映されていません。
これらの実態は、法制審議会での被害当事者及び支援者の再三の訴えにも関わらず、改正の内容に盛り込まれず、現在も苦しみを味わっている被害者が「捨象」という言葉で切り捨てられています。
長期間被害を訴え出ることのできない性暴力の被害者を「捨象」した理由として、法務省は、「被害申告まで時間がかかったために、あるいは時間がたって証拠が発見されたために、相当期間経過後にようやく訴追が可能になる場合というのは、犯罪類型を問わず存在し得る」と説明しています。
しかし、被害申告に時間がかかるのは、他の犯罪類型とは決定的に違う被害の様態と被害者の状態、その状態を利用した加害者の悪質性によるものであり、この法務省の説明はそれらを全く考慮にいれていないと言わざるを得ません。
院内集会では、法務省の説明の問題点、Springが行った実態調査の結果と被害当事者の実態、諸外国では政府が主導で実態調査を行い、法改正に繋げてきていることなどをお話しし、日本でもさらなる公訴時効の見直しが必要であることを強く訴えました。
当日は16名の衆参国会議員、代理秘書のみなさまがご来場くださり、報告に熱心に耳を傾けてくださいました。
ひきつづきこの問題については諸外国の改正の状況について等情報収集を行い、心ある議員の皆様と一緒にさらなる見直しに向けた取り組みを進めていきたいと思いますので、ご支援をぜひよろしくお願い致します。