警察庁からご依頼を受け、2023年12月11日に警察大学校にて、警察大学校性犯罪専科の方々に「性暴力被害者から見た性犯罪捜査」を講義いたしました。
2018年に初めて講義させていただいてから毎年ご依頼を頂き、今年で6回目となりました。性被害当事者の声を聞くことを続けていただいていること、大変嬉しく思います。
今回も、Springを代表して2名が講師をさせていただきました。
各道府県警察において、現に性犯罪捜査に従事し、又は従事する予定の警部又は警部補の階級にある47名が対象でした。
講義の目的は、
①性暴力被害の実態(被害を訴えることの心理的ハードルの高さや、被害後にも長く続く心身への影響など)を理解し、どうしたら被害者が救われる社会になるのか一緒に考えてほしい。
②改正刑法の下で相談件数が増加しているなか、捜査関係者によって二次被害が起こり、それ以上相談ができなくなってしまうという事態をゼロにしてほしい。
③被害を訴えた際に、初めにどの警察官に当たるかで被害者の運命が左右されることのないよう、現場の警察官の皆さんへ本日学んだことを伝え、周知してほしい。
講義の内容は
- アンケート調査から見えた性暴力被害の実態と改正刑法
- 性犯罪捜査における性暴力被害者の二次被害防止に向けた留意点
などでした。
7/13施行の刑法性犯罪規定の改正を受け、暴行脅迫要件だけでなく、なぜ8類型となったのか、被害者がなぜ性暴力によりフリーズや解離をするのか、ポリヴェーガル理論などの知見を踏まえ、詳しく説明をしました。
聴取や捜査の上で課題となる、被害者のフリーズ反応や迎合反応などを理論的に説明させていただいたことで、当事者の実態を深く理解した捜査が行われるよう、今後の展開に期待したいです。
講義後、受講された警察官の皆様の大多数が参考になったとのご報告をいただきました。
今後の捜査のお役に立てたら幸いです。