11月7日(木)、香港大学法学部 Equality Rights Project様からご依頼いただき、オンラインにて「日本の性犯罪法と被害者による法改正のアドボカシー “Japan’s Sex Crime Laws and Advocacy by Victims for Legal Reform”」というテーマで講義をさせていただきました。
参加者は、「中国における女性の権利向上」に取り組む活動家の皆さまで、30名超にご参加いただいたようです。
今回私たちにお話をいただいた背景として、団体設立歴の浅い一般社団法人Springが、
「どのようにして日本の刑法性犯罪改正を成し遂げたのか?」
「どのようなアドボカシーを展開したのか?」
という点に着目をいただきました。また、このテーマに多くの会員の皆様に関心をお持ちいただけたようで大変驚きました。
講義は、通訳や字幕筆記者の皆さまのご協力により、日本語と中国語で行われました。
今回、事前に双方の国の人権活動家の立場や、それに関連する様々なことをメールで意見交換し、準備を進めました。
講義内容は、下記をお伝えしました。
・前半:日本の性犯罪に関する刑法について
・後半:被害当事者によるナラティブとエビデンスベースとした運動について
特に後半のパートでは、2017年法改正実現を後押しした「ビリーブキャンペーン」の流れを引き継ぎSpringが設立されたこと、フラワーデモなど多くの人々の声が力となったことなどを、丁寧にお伝えしました。また、私たちがここ数年力を入れてきた、海外との連携についてもお話しました。
質問では、
・「不同意性交罪」の成立にはどのような証拠が必要なのか?中国では現在、被害者が24時間以内に警察に通報し、加害者との会話の中で直接「あなたにレイプされた」と言った方が被害者にとって有益であるが、日本はどうか
・最近、中国では女性の日常生活を盗撮する問題が盛んに議論されている。盗撮された女性の性暴力をめぐる日本の現状と、法整備に向けた市民社会の取り組みは?
・法執行機関や司法レベルでのアドボカシーはありますか?第一線の警察官の中には、ジェンダーに対する認識が欠けていたり、性的暴行事件を軽く見すぎたり、被害者に厳しすぎる態度をとったりする人もいます。このようなことは日本で起きているのでしょうか?警察の事件処理能力やジェンダー意識を向上させるための提言活動や研修はありますか?
などのような内容をいただきました。
また、アンケートへのご回答もポジティブな内容が多く、
・中国における性犯罪の立法および法改正にも被害者の主観的な意志を条文に盛り込むことなど新たな視点を取り入れたい
・「被害者の参加が重要である」点や、公共の場での語りを通じて、社会教育や意識向上を図り、最終的に法律の変革や改正につなげるという考え方が心に残り、リスク管理をしながら現状で許される範囲内でこの方法で変化を起こすことができるのではと感じた
など、双方にとってエンパワメントされる時間になったように思います。
一方で、被害当事者を団結させることにより、それが公に出ることでダメージに遭い、余計に傷つくのではないかと言うような懸念も共有されました。
(参加者の皆さまと、Springポーズ🌱)
今回の講義を通じて、東アジア特有の文化的背景や、性暴力・性犯罪に対する考え方について、共通認識を共有できたように思います。
人権向上のために尽力する方々がそれぞれの国で奮闘していること、国を超えて新たな仲間に出会えた貴重な機会となりました。
ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。