5月21日、自民党政務調査会法務部会の有識者ヒアリングに出席しました。
Springはこれまでも、与野党の議員の方々に性暴力被害の実態をご理解いただくためにヒアリングに出席してまいりました。
今回の議題は、2023年改正の附則第20条2項に従い「公訴時効のさらなる見直しに向けた実態調査の必要性」をお伝えし、すみやかに実効性のあるスケジュールを出していただく等の要望をさせていただきました。
この度提出した「性的な被害を申告することの困難さ」の調査実施実現に向けた要望書
主な内容は以下のとおりです。
- 附則第 20 条 2 項に従い、「性的な被害を申告することの困難さ」に関する実態調査についてのスケジュールを明確にしていただくこと。
- 上記実態調査を行うにあたっては、近年行われた NHK 等の実態調査やドイツ等諸外国の実態調査(※別紙)を参考にして、現在の日本の状況に沿った形で実証性の高い調査となるようにしていただくこと。
- 実態調査の調査手法や調査項目を検討する際は、私たち被害当事者の意見を十分に踏まえたものとなるよう、必要な措置を講じていただくこと。
- 調査項目については特に下記の内容について盛り込んでいただくこと。
- 加害者も証拠もはっきりしているにも関わらず公訴期間が過ぎて起訴できない事案の実態
- 長期間被害の申告が困難であった事案の背景(※次頁参照)
- 被害後の状態
- 二次的被害について
- 社会の中の誤った認識の内在化について
- 4 の調査の実施にあたっては、法務省と関係省庁間の連携をはかっていただくこと。(※次頁参照)
- 調査に伴い、申告をした被害者が必要な治療、適切な心理的支援・福祉的支援・就労支援等につながれるよう、被害者支援の体制をさらに強化すべく、関係省庁間の連携をはかっていただくこと。
昨年の刑法改正では、性暴力被害当事者の実態を踏まえ、公訴時効が5年延長され、未成年の場合は「実質33歳まで」公訴可能となりました。
延長幅が5年にとどまった理由として、法務省の法制審議会において「我が国においては、この内閣府の調査報告書以外に依拠できるような実証的な根拠は見当たらない」との議論がなされています。
しかし、5年ではまだ実態に即して不十分であることを、Springが行った実態調査アンケート① ② ③の結果から導き出されたエビデンスとともに、実際に出た判例、諸外国の公訴時効についてもお伝えさせていただきました。
法務部会所属の議員10名以上や法務省の方々が出席し、皆様には私たちの話に熱心に耳を傾けていただき、活発な意見交換をすることができました。
「見直しをするための調査をしないといけない。速やかに、どう具体的な調査をするのかを、明らかにしてもらいたい。それを(関係省庁に)強く求める。」との心強いお言葉に参加者一同大変励まされ、どう実効性を持たせていくかが今後の課題です。
性犯罪の公訴時効が撤廃またはさらに延長されるために、法改正には「変えるべき」という、エビデンス(客観的事実)が必要なので、まずは被害実態の調査が必要となってきます。政府がしっかり国民へ調査を実施してくれるよう、これからもロビィングで被害当事者の実態を届けてまいります。
2028年見直しの実現に向けて、様々な関係者・団体らと着実に動き出しています。
これからも、性暴力被害当事者の生きやすい社会の実現のために、共に歩んでいっていただけると嬉しいです。
この度は、貴重な機会をいただき誠にありがとうございました。