【要望書公開】性犯罪に関する刑事法検討会の取りまとめ報告書公表に伴い、要望書を公開します。

2021/05/24

昨年6月から続いた法務省内「性犯罪に関する刑事法検討会」が、この5月21日に区切りがついたことを受けて「要望書~ ヴィクティム・ファーストの視点より ~ 刑法改正について私たちが望むこと」を公開いたしまします。

要望書~ ヴィクティム・ファーストの視点より ~ 刑法改正について私たちが望むこと

検討会のメンバーには当団体代表理事・山本潤が、加えて被害者心理をよく知る精神科医や弁護士、被害者支援の最前線に立つ臨床心理士・公認心理師が委員に加わり、ヴィクティム・ファースト(=被害者中心主義)の視点から検討会の議論が進んでいくのではないかと期待して見守ってきました。

しかし、残念ながら、「不同意性交等罪」の創設や、「不同意」を犯罪が成立するための要件に盛り込むという方向は明記されず、「抗拒・抵抗が著しく困難」と規定すべきであるという意見も、取りまとめ報告書※には記載されており、いままでと何も変わらない可能性も存在します。 ※取りまとめ報告書は法務省HPで公表されています

「顔見知り」からの性被害がおおよそ8割とされる背景がありながら、議事録を確認すると、ある委員から「一定の関係性を有する相手の要求に対し、悩んだ挙句に、最終的に性行為を甘受するに至った場合には、不同意といえるかは必ずしも明確ではない」という発言が飛び出していることに驚きを隠せませんでした(発言は、第5回会議より)。

一部の委員は、性暴力被害者が加害者側から性行為を応じざる得ないようにさまざまな関係性・要因で追い詰められていく状況を最後まで理解できないなかで、議論が進んだのではないかと推測しています。

「不同意性交等罪」の創設がなければ、もしくは「不同意」を犯罪が成立するための要件に盛りこまれなければ、性暴力被害者から、

「セカンドレイプが怖くて、親しい友人にも打ち明けられなかった」
「警察に行ったのに、被害届を受理してもらえなかった」
「勇気を出して親や友人に打ち明けたけれど、私にも落ち度があると責められた」

という言葉が出てくる状況を変えることができません。あくまでも被害者側が抵抗することを求められることに変わりはないからです。

ほかに以下の論点についても、取りまとめ報告書内では、実現に向けては厳しい意見があったり、反対意見との両論併記となっており、ヴィクティム・ファースト(=被害者中心主義)の視点から話し合いが行われたのかと、今後の法制審でどのように決定されていくのか、不安を持たざるえません。

・性交同意年齢の16歳未満に引き上げ
・地位関係性に関する規定の創設
・公訴時効の撤廃

そこで、あらためてヴィクティム・ファーストの視点から刑法改正に望むことを掲げます。

最新情報一覧はコチラ

  • 【講師活動】こうち男女共同参画センターで講演をしました

    2025/04/08

    2025年3月8日(土)、高知県高知市にある こうち男女共同参画センター・ソーレ 様と こうち被害者支援センター 様よりご依頼をいただき、令和6年度犯罪被害者支援・女性の人権講演会「当事者の声が届いた刑法改正と残された課…read more

  • 【イベント参加】警察庁主催「第9回子供の性被害防止セミナー」に出席しました

    2025/03/13

    2025年2月13日、警察庁主催「第9回子供の性被害防止セミナー」に出席し、子どもへの性加害を防ぐための世界的な動きや捜査機関の連携について学び、その後、関係者の皆さまとネットワーキングを通して意見交換をさせていただきま…read more

  • 【講師活動】信濃毎日新聞社の勉強会にて講義をしました【意見交換】

    2025/03/04

    2024年11月21日(木)、信濃毎日新聞社様よりご依頼いただき、「刑法改正の内容と今後の課題、性被害の実態調査によってみえてきたもの、マスコミ報道に期待する事・二次被害を防ぐには」という3つのテーマでSpringスタッ…read more

  • 【ロビイング】2025年1月のご報告

    2025/02/20

    1月は、年明け早々に鈴木法務大臣との面談が叶いました。(詳しいレポートは後日公開予定です。)その後3名の議員の皆様とお会いすることができました! Springの主な面談内容は、改正刑法施行5年後の見直しのために必要な「性…read more