11月29日(木)、 駐日EU代表部と 国際協力NGOジョイセフ(JOICFP)の共催で行われた、「ジェンダーに基づく暴力に撤廃する 16 日間記念オンラインイベント; イスタンブール条約から考えるジェンダーに基づく暴力/セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」にて、一般社団法人Springが「日本で性暴力対策としてかけていることは何か」というテーマでコメントを求められたため、スタッフが参加し、スピーチをしてまいりました。
Springのスタッフが表明したコメントの内容をご紹介いたします。
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一般社団法人 Spring は、性暴力被害当事者および支援者の団体として、性被害の実態に即した刑法の改正を求め、国会や政府機関に被害者の実態、声を届けてきました。
日本で性暴力対策にかけていることは、性教育、被害者支援制度、そして刑法の処罰規定です。
イスタンブール条約では、先ほども話されましたが、第 36 条で「同意に基づかない性行為」を処罰する規定を設けるよう求めています。そしてこれは日本では実現していません。
ただ、私たちの働きかけと国会議員、各省庁のみなさんのご協力により、次のような前向きな変化も起きています。
内閣府の広報にて、「相手の同意のない性的な行為は、性暴力です」と啓発していくことに成功しました。
文部科学省は、youth 向けの啓発資料を作成し、「相手の同意のない状態で一方的に性的な行為をすることは性暴力です」と記載させることに成功しました。
これは私たち市民団体と、国会議員、省庁職員、3者の共同の成果です。
しかし、刑法の処罰規定については、いまだに古い考えにとどまっています。それはなぜか。
法務省が開催した「性犯罪に関する刑事法検討会」では、現在の日本においては、「“Yes means Yes”の前提となるべき社会通念が十分に形成されていない」「明確な拒絶の意思表示がないことが同意を示すものではないということが理解されていない」とのまとめが記載されました。先月法制審議会から公表された刑法改正試案は、私たちが望んでいた「同意のない性交を罰する」という処罰規定の創設は見送られ、被害者が「拒絶困難」であったと証明されなければ、加害者が処罰されないものとなっています。
「性的同意」に関する「社会通念」が日本に定着していないのは、被害者が声を封じられてきたからです。しかし、被害者が勇気を持って命がけで声を上げているいま、世界の社会通念と刑法を大きく変え、世界から性暴力による加害も被害もなくしていきましょう。ありがとうございました。
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イベントでは、ジャン=エリック・パケ次期駐日欧州連合(EU)大使が開会挨拶、パネリストとして、サラ・デヴィドカフォスカリ大学(イタリア、ベニス)准教授、林陽子弁護士・元女性差別条約(CEDAW)委員会委員長、北仲千里氏全国シェルターネット共同代表・広島大学准教授が登壇され、イスタンブール条約の重要性、ジェンダーに基づく暴力へのパンデミックの影響、イスタンブール条約を日本に生かすには、といったテーマで議論がなされました。
私たちは、今後も日本で、「同意に基づかない性行為」を処罰する規定の創設されることを目指して、様々な機会で性暴力被害当事者の実態を伝え、刑法改正の必要性を訴えてまいりたいと思いますので、ひきつづき応援を宜しくお願いいたします。