1月17日、性犯罪に関する刑法改正に向けた法制審議会の「 試案 改訂版 (前回試案との変更点)」が、法務省より公表されました。
これを受け、以下に見解を述べさせていただきます。
【公式】法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会「試案(改訂版)」に対するSpringの見解_2230119
この間、刑事法(性犯罪)部会の委員、幹事の皆様におかれましては、性犯罪に適切に対処するため、そして性暴力被害当事者の実態に即したものとするための法整備の在り方について議論を尽くしていただいていることに、深く感謝申し上げます。
また、議論を通じて委員の皆様が性暴力被害当事者の実態についてより正確に把握するために長期間ご尽力いただいた結果、私たちの切実な要望、思いを受け止めてくださり、刑法の条文案に「同意しない意思」という文言が加わったことや、性交同意年齢の引上げ等に至ったことについては、大変嬉しく、歓迎しております。
Springがこのように活動を続けられるのも、日頃からさまざまなかたちでご支援・励ましをいただいている市民の皆さまをはじめ、国会議員、関係省庁の方々、報道関係者の皆さまによって支えられているからこそです。
2017年に刑法改正が実現し「改正後も必要があれば3年後に見直す」という旨の附則がついてから、約5年半が経ちました。
まずは見直しの検討会が開催されるために、
その委員に被害当事者や被害実態に詳しい専門家が入るために、
山積みの課題を一つ残らず議題にあげるために、
そして、すべての性暴力が性犯罪として裁かれる条文になるために、
私たちは声を上げ続けてきました。
その間、影響力を持った人々によるレイプ神話やミソジニーに基づく発言に、社会はまだまだ変わらないと悔しさや悲しさ、失望を覚えることもありました。
検討会や審議会の議論でも、私達の望みがなかなか伝わらないと、危機感や焦燥感にかられることもありました。
それでも、私たちが心をともにし、力をあわせながら、歩みを止めずに来たからこそ、
刑法の条文案に「同意しない意思」という文言が加わり、性交同意年齢が引上げられる等、求めてきた一部の変化を起こすことができたのだと確信しています。
とはいえ 見解で述べたとおり、 未だ懸念も課題も残る内容であり、さらなる変化を起こす必要があります。
今一度、応援していただける皆様と この確信にかえり、
性暴力の実態に即した刑法性犯罪規定となるよう、引き続き、変化を求める歩みをすすめていけますと幸いです。
改正まで残された時間はあと僅かです。
(下記の報道では、早ければ2月の法制審議会で決定後、法相へ答申し、1月下旬から始まる今年の通常国会で提出される、とのことです。)
改めまして、今後とも刑法改正の議論を注視しながら、Springのご支援・応援をいただけますよう、何卒お願い申し上げます。
<試案 改訂版に関する記事 >
強制性交罪の成立要件、「拒絶」→「同意しない」に修正 法務省試案 -朝日新聞デジタル (2023/01/17)
強制性交罪要件 試案の修正案「同意しない意思」表明困難など -NHK(2023/01/17)
強制性交要件、試案を修正 「不同意表明が困難」に―法制審 -時事通信(2023/01/17)
13〜15歳相手の性交、5歳差以上は一律で処罰対象に。性犯罪の刑法改正で新たな試案 法務省 -ハフポスト日本版編集部 (2023/01/17)
性犯罪規定見直し試案 「拒絶困難」成立要件の文言変更 法務省 -毎日新聞 (2023/01/17)
法制審部会、性犯罪の要件で修正案 「拒絶困難」を「同意しないことが困難」に -産経新聞 (2023/01/17)
<Springが取材に応じた内容が掲載された記事>
届いた被害者の声 強制性交罪、スピード修正 処罰範囲は変わる? -朝日新聞デジタル (2023/01/17)
<参考>
【声明】法制審議会「試案」に対する、記者会見報告 及び Springの見解について
(最終更新:1/22 19:00)